マジカルバナナの壁

これは壁 Advent Calendar 2025の記事です.

クイズ開始時には司会者の板東の「マジカル○○」で始まる。前の人が言った言葉を聞き、そこから連想する言葉を4拍子のリズムに乗って「○○と言ったら△△」と答える。

解答例 マジカルバナナ♪

バナナと言ったら黄色♪

黄色と言ったら信号♪

信号と言ったら車♪

車と言ったら乗る♪

乗ると言ったら電車♪

誰かがアウトになるまで繰り返す。

https://dic.pixiv.net/a/マジカルバナナ より引用

90年代のテレビ番組なので、もはや今の若者で知るものは少ないだろう。世代の壁である。

世代の壁の話をしたいのではない。マジカルバナナの話をしたいのであった。

マジカルバナナは陽気なゲームのように見えるが、その実は、(あまりよろしくない)研究者の仕事が元ネタとなっていることはあまり知られていない。研究者の仕事は、

お金持ってる人「マジカル、AI4Science♪」

「AI4Scienceといったら創薬AI」

「創薬AIといったら生成モデル」

「生成モデルといったら拡散モデル」

というように、マジカルバナナを繰り広げ、予算申請書や論文のイントロの錬成、はたまた企業研究者の場合は上長へ説明を繰り返すのである。このような研究村の風習を見た人が、その”マジカル”な”ロジック”を目の当たりにして、「そんなバナナ…」と驚いたという故事に倣って、マジカルバナナと名付けられたという。

そう、「そんなバナナ…」なのだ。私も多かれ少なかれマジカルバナナに与して論文を書いたりビジネス応用という名の社会実装をした経験があるマジカルバナナ村出身者なので、マジカルバナナをする気持ちもわかるが、まともな神経をしていたら、「そんなバナナ…」と反応するのが普通なのだ。

マジカルバナナには、下手に”ロジック”のようなものがあるので、本来の目的とズレたことであっても、自分がやりたい提案が通ってしまう。そうなればこっちのもので、錦の御旗のもと、好きなことができてしまう。すると、結局掲げたはじめのお題が達成されることはなく、インパクトがでないのである。

マジカルバナナは終わりにしよう。マジカルバナナの壁を乗り越えよう。そんなバナナ…と言って見て見ぬふりはやめよう。それってマジカルバナナじゃないですか?って正論を言おう。 論文とか社会実装とかAI利活用の壁とか語るのは、その後にしよう。ビジョンに沿わないことをしつつ、あたかもビジョンに沿ったかのように振る舞うことが、なにより問題なのだ。